リハビリテーション科 ブログrehabilitation

「偏(かたよ)らない」ことの効能

仏教は2,000年以上前から伝わる日本人に馴染みの深い宗教です。

今回は、その仏教の教えの「偏(かたよ)らない」ことからリハビリについて考えてみたいと思います。

「偏らない」ことは、私たちの心身を健康に保つために、非常に役立つ教えです。

手術した患者さまを例に考えてみましょう。

入院して手術した患者さまの中には、今までの痛みや苦しみが嘘のように消えて、完全に治ったような気持ちになる患者さまがいらっしゃいます。

そうした患者さまが「もう治った!」と思って、術後すぐに、まだ許可されていない過剰な運動を繰り返ししてしまった結果、そのあとで身体の負担が大きくなり、調子を崩してしまうことがあります。

その逆に、手術して時間が経ち、ある程度良くなっているにも関わらず、「とにかく安静にしていないといけない」と信じて、ベッドからほとんど動かない患者さまもいらっしゃいます。

極端にベッドから動かないことで、筋肉は衰え、関節は硬くなるため、こちらも調子がなかなか回復しないということになりかねません。

上記のような例では、「動きすぎる」「動かなさすぎる」のどちらに偏ったとしても、調子を崩してしまいました。

どちらかに偏るのではなく、どちらにも「偏らない」という丁度いい塩梅によって、調子を上向きにできると思います。

術後のどの時期かによって、「偏らない」身体の動き方が変わってきます。

例えば、術後の早い時期には、安静と適度な基本的活動が必要です。

術後、身体が安定してきた時期には、持久力の向上や応用動作も必要になります。

そのような「偏らない」身体の動き方について、我々リハビリスタッフは患者さまのお役に立てると思います。

患者さま皆さまの調子が改善できるように、お手伝いをさせていただければ幸いです。

そのためにも、まずは私自身の心が「偏らない」ように精進していきたいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

今後とも、当院リハビリテーション科をどうぞよろしくお願いいたします。

日髙 惠喜