アドラー心理学における「尊敬」と「信頼」
アドラー心理学という学問をご存じでしょうか。
アドラー心理学はフロイト心理学、ユング心理学に並ぶ、有名な心理学です。
アドラー心理学では、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と言われます。
そうやって考えてみると、人生の悩みは常に「誰か」を想定した対人関係の悩みであることに気づかされます。
私たちリハビリスタッフは、患者さまと直接相対してお話させていただく機会が多い職業です。
患者さまとより良い関係性を築くために、アドラー心理学の考え方は非常に役に立つと考えています。
今回はその中でも、アドラー心理学における「尊敬」と「信頼」についてお話したいと思います。
アドラー心理学では、私たちが一般に使っている「尊敬」と「信頼」とは少し違った考え方をしています。
「尊敬(respect)」の英語の語源は「振り返って相手を見る」です。
アドラー心理学における尊敬とは、目の前の相手を先入観に囚われることなく、何度も何度も見直すということです。
どんなときでも、初めて会った時のように、丁寧に接することができれば、自然と相手を敬う気持ちが湧いてくる、というものです。
「信頼(trust)」はもちろん相手のことを信じることですが、何を信じることなのでしょうか。
アドラー心理学における信頼とは、相手が「自分の力で物事を解決できることができる」、ということを信じることになります。
私たちは患者さまとの関係を何度も見直して敬い、患者さま自身で立ち上がれる力があることを信じることが重要になります。
勇気づけや援助を行い、患者さまとの一致した目標を達成するためのお手伝いができれば幸いです。
私自身はまだまだ未熟ですが、日々患者さま皆さまに「尊敬」と「信頼」を実践していきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今後とも、当院リハビリテーション科をどうぞよろしくお願いいたします。
日髙 惠喜